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福田逸の備忘録――残日録縹渺

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2020年 10月 15日

月下美人

 施設に入った母に代って世話をしている月下美人、一昨年鉢を増やし株分けなどしたせいで、元気を取り戻し、今年の夏は天候不順にも拘らず、沢山の花をつけてくれた。しかも、7月から毎月、4度目の花が咲いている。
 下の画像は今夜咲く花、一鉢で9輪の花をつけている。さぞかしいい香りだろう・・・と思うが、これだけ咲くと、香りがキツイかもしれない。他の鉢を入れると今夜13輪咲くはず。壮観だろう。
月下美人_d0007247_16165197.jpg
 少々みっともないのは、夏の日光で葉(?)が日焼けして、茶色くなって葉肉の部分があちこち見苦しい・・・いずれにせよ、香りが届けられないのが残念だが、映画でもテレビでも、香りまで届ける技術だけは未来永劫出来ないのではあるまいか。
 分かりにくいかもしれないので、花に矢印を付けておきます。

月下美人_d0007247_16231351.jpg


# by dokudankoji | 2020-10-15 16:20 | 自然
2020年 09月 12日

身辺多事……拙訳等々刊行

 今夏の暑さに参っていましたが、それも漸く収まってくれそうな気配にホッとする日々です――とはいえ、8月の末には、施設にいる母(99歳)が救急搬送されたり(幸い事なきを得て施設に戻りました)、家人が足首骨折(ヒビ)で身動き取れなくなったり……この「二正面作戦」だけでも、小生にはアップアップの毎日ですが、ここにきて、愛犬が夏バテ気味、食欲もなく元気がない。動物病院へ連れて行きと、遂に三正面作戦と相成り、そうなると、半ばヤケ。居直った毎日を過ごしています。

 ところで、つい最近、拙訳ノエル・カワード著『スイートルーム組曲』 が刊行されました。実はこれ、7年越しの仕事というか、出版が思うように捗らず、今春、方針を切り替え、出直したら、あれよあれよと進展、半年で世に問うことが出来ました。版元の而立書房には感謝あるのみ。

 また、その少し前に、小生の解説で福田恆存の旧著が中央公論より文庫化されました、『演劇入門 増補版』。順番としては、こちらを先に読まれて、ノエル・カワードの戯曲を私の訳でお読みになると、舞台言語とはどういうものか、腑に落ちる…かもしれません(?) ご興味があれば。是非!

 定年以来二年余り、呑気に過ごしてきたのですが、ここのところ、これらの仕事を進める手続きやら、他にも月刊誌のインタビューや映画関連の原稿(コメント)依頼等々で、忙しい夏から秋への変わり目を過ごしており、ブログも滞りがちで、相済みません。



# by dokudankoji | 2020-09-12 16:54 | 言葉、言葉、言葉、
2020年 08月 21日

一之輔のコラム~なにやら悲しい

 産経新聞に毎週金曜日に掲載される春風亭一之輔の人気コラム「直球&曲球」。820日付は、《急患よりも「コロナが怖い」人たち》を読んで、コロナ禍以上に気が滅入った。(いや、コロナ禍で気が滅入ったことなど無いのですが……)

日本人というのは、昔からこんな情けない人種だったのだろうか。他者の不幸や危機的状況にかくも冷淡でいられるものだろうか。私自身が、同じ立場に立ったらどういう行動をとるか、勿論、偉そうなことは言えないが、おそらく一之輔と同じような行動をしたと思う。

読んでいない方も多かろうと思うので、短いエッセイ、以下にそのまま引用する(産経さん、一之輔さん、©などと仰らずに、金もうけで書いているブログではありません……)。

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先日、山手線に乗っていると、私から3メートルほど離れたところで「ドターンっ!」と大きな音。見ると女性が前のめりに倒れて痙攣(けいれん)していた。

 座席はほぼ埋まっていたのに、誰も動かない。「近くにいるのに誰も何もしないの?」と思いつつ、とりあえず駆け寄り「大丈夫ですかっ!」と声をかける。頭は動かさないほうがいいだろう…くらいは分かるのだが、後はどうしたものか…。

 数回声がけをしても反応がないが、呼吸はあるようだ。スマホで119番した。誰かが非常停止ボタンを押したのだろう。電車が止まる。

 電話がつながった。今、山手線のどことどこの駅の間なのか、何両目付近なのか、女性がどのような様子なのか、を電話口で聞かれ、「次の駅のホームに着いたらその人を降ろしてください」と言われた。

 電話を切ると、遠くの方から年配の女性が近づいてきて、「マスク外してあげたほうがいいんじゃないかしら?」。慌ててその女性のマスクを外すと、とたんに近くの乗客が何人か席を立った。

 もう1人、男性が近づいてきて、女性の脈を取り始めた。「ちょっと速いですね」と男性。電車が駅に着いた。

 3人でソロリソロリと女性をホームに下ろす。年配女性が倒れた女性のカバンを渡してくれたが、「ここでごめんなさいね」と電車に乗り、数十秒後に電車は発車した。

 遠くから駆けてくる駅員。「おーいっ!こっちこっちーっ!」。私のデカい叫び声に周りのお客は驚いた顔で振り向く。駅員さんに引き継ぎをし、救急車が来て女性は運ばれていった。

 夕食のとき「人が倒れたら普通すぐ動くよなぁ」と家内にこぼすと「コロナが頭にあるから、みんなすぐには駆け寄れなかったんじゃないの?」と言う。そうかあ? そうなのかなあ。人命が懸かってるのにそれに関わるのを躊躇(ちゅうちょ)してしまうほどに『ソーシャル・ディスタンス』なるものが身に染み付いてしまったのか。

 そうだとしたら、とても切なくて怖いことだ。

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大袈裟に言えば衝撃的な話だ。

問題点は二つ。

ひとつ。一之輔が言う通り、人が倒れた時、普通、動くだろう、駆け寄るだろう。これが電車内ではなかったら、今の日本人は倒れている人の傍らを素通りするのだろうか。放っておくのか。

車内で見ず知らずの人が急に倒れる――確かに、一瞬固まって動けないのも分からなくはない。しかし、ひと呼吸おいて、人は助けに動くものではないのか。

もう一点は、マスクを外したからと言って、飛びすさるように席を立って「逃げる」ヤカラ。コロナが怖い? コロナだから倒れたのかもしれない? で、自分は罹りたくないから逃げる? この連中が私には一番情けない。

確率からいっても、1億2千数百万人の人口の我が国で、今のところ分かっている罹患者は約60,000人ほど。半年を越えるコロナの「蔓延」でも、死者が1,150人余。インフルエンザでも毎年3,000人が死ぬというのに、コロナでの死者は半年余りで、その三分の一。

何が、怖いのか。死が? 重症化が? 後遺症? しかし、人口から考えると、罹患率は小数点以下にゼロが3つついて、次の桁が1にしかならない割合。

もしも罹患の危機を感じたというなら、逃げまどうよりは、手助けして次の駅で降り、宝くじでもお買になったら? と、与太の一つも飛ばしたくもなる。

さて、一之輔は、この話を「そんなにコロナが怖いのだろうか」と優しく書く。しかし、内心は違うだろう。帰宅後奥方に「人が倒れたら普通すぐ動くよなぁ」と零したことからしても、大袈裟に言えば「人の道」を踏み外している多くの乗客を、寂しげな目で眺めている。最後の、「そうだとしたら、とても切なくて怖いことだ」という言葉がいい。厳しくも優しい一之輔の、この目線が私は好きだ。

そして、くだんの女性のマスクを外してやろうと言った婦人、脈を取った男性。彼等は、きっと、直ぐに動けなかった自分を恥じ、その恥をそそぎたかっただろう。何より、一之輔の孤軍奮闘に勇気づけられて行動を起こしたに違いない。これらの人々の真面目も私は好きだ。そういう人がいたことに、救われる思いがする……そうだ、そういう人が、他にもきっといたに違いない。何かしたいとは思っても、直ぐには体が反応せずに、タイミングを逃して何もしなかった、そういう人々が他にもいたと思いたい。

ましてや、コロナへの罹患を怖れて知らぬ顔をしていたなどと想像したくはない。もしもこの国が、危急の折に取るべき行動を取れない人間の集合体であるとしたら、行く末は暗い。無気力と無責任と無関心との先に見えるものは、無意味や無価値でしかあるまい。不気味なことだ。



# by dokudankoji | 2020-08-21 21:29 | 我が国
2020年 08月 19日

昔のブログ

 調べてみたら、最初にブログを書き始めたのは2005年3月下旬、実に十五年以上前のこと。自分で驚いている。FacebookやTwitterに完全移行して、ずっと外からは読めないようにしておいた。

 で、今回、タイトルも「福田逸の備忘録~残日録縹渺」と改めて、再スタートしたのを機に、少しずつ以前のものも読めるようにした。余りにもその時のみの話題やリンク先が消えているものなどは除外、半分近くの記事だろうか、遡って読めるようにした。

 時間のある方は、ご一読を。呆れたことに、現在でも書きたいことを、既にかなり書いている。こうなると当ブログ、もう書くことは何もないか・・・あとは沈黙、ってか? 最近引っかかる言葉遣いについて、気が付いたら10年以上前に既にゴチャゴチャと文句を付けている。こうなると、もう、戦意喪失、書く気を失う・・・?



# by dokudankoji | 2020-08-19 16:54 | 日常雑感
2020年 08月 18日

福田恆存著『演劇入門』

父の著書が文庫化されました。中公文庫版『演劇入門』
近日中に書店に並びます、ご興味のある方、是非お手にとってご覧下さい。
解説を書きました、少しでも皆様の読書の一助となればよいのですが。


# by dokudankoji | 2020-08-18 23:17 | 芸術