<   2012年 11月 ( 2 )   > この月の画像一覧


2012年 11月 16日

芝居の稽古~「明暗」余録

 芝居の稽古をしてゐると、いつも同じ思ひに駆られる。ひと山越えてあそこが頂上と思つて、そこまでたどり着くとさらに先に峰が聳えてゐる。いつも同じである。そこで昨年の「堅塁奪取」から、役者や他のスタッフはさておいて、自分の中で初日を一週間くらい前倒しで設定する。

 今回の「明暗」でも同じ作業をしてゐる。従つて俳優の生理を無視して稽古初日から結論を急ぐ。俳優との間に齟齬が起こることもなくはないが、あくまでダッシュする。役者たちがそれに乗つてくれればしめたもの、最後の十日か一週間は余裕で短い稽古時間で切り上げる。明日(金曜日)は稽古休み。その後、計8回の稽古場での稽古がある。私は、この8日間はいはば余禄のつもりでゐる。

 もちろん、完璧はあり得ぬわけだから、恐らく他人の目には隙だらけなのだらう。しかし、性格だらうか、この稽古の進め方、私には向いてゐるやうだ。明後日からはせいぜい緻密な細かい手直しに入るつもり。観に来て下さる方に、なんだ口ほどにもない、と思はれぬやう、余禄の8日間を余禄以上のものにしてみたいと、切に思つてゐる。ただ、演出家にはどうにも手の貸しやうのない範疇といふものがある。これも配役したのはこちら。その範疇も含め出来不出来は私の責任だらう。
[PR]

by dokudankoji | 2012-11-16 00:56 | 雑感 | Trackback | Comments(0)
2012年 11月 03日

「明暗」~稽古たけなは

 現代演劇協会公演「明暗」の稽古に入つたのが10月の半ば、稽古の三分の一以上を読み合はせに充てるといふ、いはば前代未聞の稽古の進め方で、「文化」の日に合はせたわけではないが、大雑把な立ち稽古(粗立ち)に今日入つた。

 読みこんだだけのことはある。セリフがほぼ入つてゐるので、稽古がすらすらと進む。役者も演出のこちらもストレスがない。お互ひに遠慮なく疑問点を提示し、修正して行く。いざとなつたら、あと一週間で初日を開けても、何とかなる気配。細かなところまで緻密な舞台を造りたい。

 昭和30年に書かれたこの作品、古いと思わはれるか、難しいと言はれるか、演出が、はたまた俳優がダメだと言はれるか。私自身興味津々。主題は……いや、これはここには書かない。来て下さる方に先に解答を見せるのは、ある意味卑怯と思ふ。尤も、主題を頭で理解していただくより、劇場では、サスペンス劇を存分に楽しんで頂きたい。テーマだ意図だと小難しいことは、後から付いて来ることだと考へてゐる。

 稽古初日には半時間ほどかけて出演者に、作品のl主題や構造の説明はした。が、それが舞台に絵に描いたように出てしまつたら、娯楽としての演劇の失敗。あくまで主題は背景に引き下がらせる。役者やスタッフが創造する背後にある主題は、いはば背骨。観客の皆さんには血肉をお目に掛けたい。

 ぜひ、お出かけ下さい。11月28日から12月2日まで、新宿南口の紀伊国屋サザンシアターにて。
[PR]

by dokudankoji | 2012-11-03 23:10 | 雑感 | Trackback | Comments(0)