福田 逸の備忘録―独断と偏見

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2007年 08月 12日

南半球でも

 NICHIGO PRESSといふウェヴサイトがある。オーストラリアで発行されてゐる日豪プレスといふ日本語新聞のオンライン版だが、この中に「国際ニュース反射鏡」といふコラム欄があり、月一回更新されてゐるらしい。署名が青木公なる人物。以前朝日新聞のシドニー支局長をしてゐて、今は朝日新聞社社友だとか。

 これだけで、ははんと思ふ方も多いだらう。いはゆる「従軍慰安婦」に関するアメリカの下院外交委員会の謝罪要求可決(6月下旬)についてのエッセイなのだが、何が酷いといつて内容は言ふまでもないが、文章がなつちやゐない、粗雑で散漫な文章である。

 ここに引用して一つ一つ例示したいのだが、「無断転載を禁じます」とあるから、それもままならない。興味ある方は直接こちらを見て頂きたい。如何にも朝日新聞!といふ思考パターンとステレオタイプの表現を見せ付けられ、それはそれで面白いのだが、こんなところでも自虐半日キャンペーンをしてゐることにはホトホト感心した。

 引用・転載にならぬ範囲で、私流に「粗雑」かつ「散漫」な紹介をすると――

 例のマイク・ホンダ議員の経歴を、苦難の末議員にまで上り詰めた美談にし、彼が戦時中(アメリカにより)強制収容され、財産を失つたがゆゑに戦争被害者だとしてゐる。しかし、文章の流れからすると、まるで日本国から被害を受けたかのやうに読める、といふより、どう読んだらよいのか実に曖昧な文章になつてゐる。ホンダ議員が戦争被害者だと断ずる文の前に、彼がIT産業が盛んな地域から選出された議員であり、そこには労働者にアジア系が多く、中国系・朝鮮系の移民もかなりゐるといふ趣旨の文章がある。そして直後に、アジアからの移民にも戦争被害者が多い、と来るから、私には朝日新聞お得意の自虐的文章に見える、つまり、アジアからの移民と共にホンダ議員も日本国による戦争被害者だと読まざるを得なくなる。かういふ書き方は、洗脳、誘導、操作とでも言ふのではないか。少なくとも、サブリミナル効果はある。

 さらに読み進めると、「人間」としての青木氏には、政府や国のレベルで、戦後、中国他アジアの国々とは、国家間の賠償が済んでゐるといふのは「割り切れない」と来る。そして「人道的」な補償といふお題目になり、国際的な司法機関での対処が好ましいと考へ、最後はオーストラリアの、原住民アボリジニ文化の尊重や権利の回復の話を持ち出して、その先進性を称揚し、日本のやり方は間違つてゐると言ひたげな文章でエッセイを締め括つてゐる。ちなみにタイトルは「なぜ『米国議会がアジア従軍慰安婦』か――人権に国境はない時代へ」となつてゐる。

 我々の気が付かぬところで、南半球までも半日思想刷り込みは広がつてゐる。それをやつてゐるのが朝日の社友だといふことをもう一度申上げておく。

 なお、日豪プレスの記事と青木公の存在を、その余りの軽さを教へて下さつたのは、私のブログを訪れてTBをして下さる、 「本からの贈り物」といふ素晴らしい書評ブログを展開してゐる、オーストラリア在住のmilesta氏である。氏の読書量は並みのものではなく、またジャンルも幅広い。書評は、的確、実に的を射てゐる。私なぞ、必読書で読んでゐないものでも、このブログで取り上げられた時に読んでおくと、かなり助かることがある。そんぢよそこらの書評には太刀打ちできない。なぜか。魂が入つてゐる。私の好きな数少ないブログである。
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by dokudankoji | 2007-08-12 00:54 | 雑感


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