福田 逸の備忘録―独断と偏見

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2006年 09月 06日

おめでたきこと

 紀子様無事親王御出産、なんともいへぬ嬉しいニュースだつた。男児であらうとは、(勝手に)確信してはゐたものの、やはりほつとする朗報だつた。取敢へず皇室典範改悪論議にはブレーキが掛かるだらうが、おそらく多くのメディアや「識者」がしたり顔で、「早晩『改悪』を考へなくてはならない」などと騒ぐことは間違ひない。

 次の首相が誰であれ、親王が誕生したからといふ理由で皇室典範に関する論議を棚上げするといふのではなく、皇室は、そして日本はいかなる姿の国であるべきかをしつかり見定められる心の持ち主であつてほしい。小泉のやうに軽率な首相が続かぬことを祈る。

 ところで、日本の一般的な継承が婿養子を取つたりする女系を包含する緩やかなものだといふ論議、男系男子を主張してゐては支那に頭が上がらぬぞといふ言挙げ(『諸君!』十月号を見られよ)まで見られるが、これはをかしい。支那に一王朝が一つ家系で二千年余り(二千六百六十六年とは言はぬ)続いた例はあるのか。世界中にさういふ王室の例はあるのか。たとへ孔子の子孫が男系男子で何百万人存在しようと、それががどうした、といふ外はない。支那は今や共産主義の国ではないか。

 むしろ、かうは考へられぬか。世間一般が女系であつたり、全くの他家から養子を迎へざるを得ず、それをよしとしてゐる曖昧模糊たるわが国で、いや、さらに言ひなおせば、男系男子で繋ぐことの甚だ困難な継承といふ問題において、どこの国にせよ、女性を中継ぎにしてでも、結局は男系男子で継承して来た王室の存在に粛然たる思ひを感じはしないか。我々「下々」にはとても出来ぬことを二千有余年に亙つて繋げたこの国の叡智を前に、私は頭を垂れるのみである。さういふ心情を持つか持たぬか、すべての問題は、おそらくそこに掛かつてをり、さうである限りこの議論は平行線を辿る外はない。

 私には、皇室の系図がいつの間にか神話の世界に繋がる民族の歴史に誇りなり喜び(楽しさ)を感じられないとすれば、そのこと自体が既にこの国の生命力の枯渇を意味してゐると思へてならない。神話を馬鹿にしてはならない、神話をフィクションといはば言へ。そのフィクションより確固たる何が現実の世界に存在してゐるか考へてみたらよい。現代の我々に、フィクションほどの存在感もありはせぬ。
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by dokudankoji | 2006-09-06 22:32 | 雑感 | Trackback(6) | Comments(6)
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Commented by あび卯月 at 2006-09-07 00:22 x
トラックバックありがたうございます。
こちらからもトラックバックさせていただきます。

さて、親王の御誕生、本当に「おめでたきこと」でありました。
私も何故だか男児であることを“勝手に”確信してをりました(笑)
実際に親王がお生まれになつたことを耳にして思はず笑みがこぼれてしまひました。

>親王が誕生したからといふ理由で皇室典範に関する論議を棚上げするといふのではなく

全く同感です。
親王が御誕生したからといつて皇室消滅の危機が去つたわけではありません。
今後の皇室に関はる議論を棚上げにするのではなく、この機に真剣に考へなければなりませんね。

つづく
Commented by あび卯月 at 2006-09-07 00:24 x
(文字数が多かつたやうなので二回に分けて書き込みさせていただきます)

>私には、皇室の系図がいつの間にか神話の世界に繋がる民族の歴史に誇りなり喜び(楽しさ)を感じられないとすれば、そのこと自体が既にこの国の生命力の枯渇を意味してゐると思へてならない。

福田先生の仰る通りだと思ひます。
神話が科学的ではないからと言つて否定するものは到底、さういふ「喜び」を知りえない手合でありませう。
また、「科学的である」から尊ひという道理は無くて、
むしろ、そこに文化や人間性の介在しない「科学」などよりも、
民族の歴史と想ひと叡智が詰まつた神話などのはうが余程、尊ひと思ひます。
皇室が尊ひのもかういふことだと考へてゐます。
勿論それだけではないでせうが、なにより、歴史の重みが尊ひ。
やはり、私も頭を垂れるのみであります。

ところで、御相談なのですが、
私のブログのブックマーックに先生のブログを加へてもよろしうございませうか。(所謂、「リンクを張る」というふことです。)
私のサイトを訪れる方にも是非、福田先生のブログを御覧になつて欲しいと思ふからです。
どうぞ、よろしくお願ひいたします。
Commented by dokudankoji at 2006-09-07 00:36
あび卯月様 コメントありがたう存じます。ブックマークは勿論喜んで、ご自由にどうぞ。小生はちよつと事情があり、リンクは閉じてをりますので、悪しからず。
Commented by あび卯月 at 2006-09-07 01:10 x
御諒承ありがたうございます。
早速、ブックマークに加へさせていただきます。
Commented by milesta at 2006-09-08 08:40 x
初めまして。トラックバックありがとうございました。
子供達は、神話の話や先祖の話が大好きです。どんな話より、目を輝かせて聞きたがります。自分たちと繋がっている昔の話に強い関心を持つのは、自然な感情なのではないかと思います。
私の住んでいるオーストラリアのアボリジニには、ご存じかとは思いますが、「ドリームタイム」という神話のようなものがあり、文字文化がなかったにもかかわらず、物事の成り立ちや天災の歴史などが伝わっています。そして今では絵本やカレンダーになっていて、それらの物語が身近にあります。
神話の信憑性云々という訳の解らない論理で、神話を子供達に教えないというのはおかしいと思います。日本はなぜ日本固有の大事なものを捨てたがるのか、本当に不思議です。「個性を大切に」と言うなら、まずは国の個性を大切にするべきではないかと思っています。
私もあび卯月様↑同様、リンクをさせていただきたいと思います。もしも不都合がありましたら仰ってください。
Commented by dokudankoji at 2006-09-08 22:45
 神話に信憑性があつたら、それは神話ではなく虚偽とでも呼びませう。日本にしても、文字がないにも拘らず伝承されたところに語り伝へた人々=我々の祖先の心が感じられるわけです。自分の国はかくあつて欲しいといふ願望ですね。さういふ人間の素朴な心情を科学的信憑性で語らうとする事が、とんでもない勘違ひなのです。
 アメリカで以前「ルーツ」といふテレビドラマが大ヒットしましたが、人間は自分のルーツを知りたいといふ願望を必ず持ちます。ルーツがないアメリカは、それゆゑヨーロッパに憧れ、東洋にエキゾチシズムを感じる。日本は幸せなのです。天皇家ならずとも、平安まで辿れる家柄があつたり、長い歴史を有してゐるのですから。
 海外にお住まひだと、まさに自分の「ルーツ」を大事に思ふ気持ちが強くなりますよね。
 リンクは、勿論、ご自由に。余り更新が多くないので申し訳無いのですが。


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