2006年 03月 04日

懲りないNHK

 前掲記事で扱つた、荒川選手「日の丸ウィニングラン」問題がネットの世界でかなり波紋を呼んでゐる。殆どは「NHKは許せぬ」といふ批判だが、中で興味深いブログを二つ見た。『玄倉川の岸辺』と日頃から敬愛するジャーナリスト花岡信昭氏のブログの二つの記事である。前者はNHKの日の丸ウィニングランをライブで放映出来なかつたのは「偏向」ゆゑではなく、NHKの「無能」ゆゑではないか、直情的に偏向報道と考へるべきではないといふ説。後者はジャーナリストらしく、確証がないものを「偏向」と決め付ける危険性を「落とし穴」としてネットの世界に慎重な対処を求めた冷静な記事。さらに花岡氏はNHKの友人から直接「取材」し、国際映像が日の丸ウィニングランの前までで終了し、その後はNHKが勝手に放映できなかつたといふ事情を書いてゐる。

 国際映像を利用せざるを得ないNHKを責めるわけには行かないといふブログは他にも散見される(さう多くを網羅的に見たわけではないが)。確かに、これらの意見は傾聴に値する。私も自分の前掲記事は軽率だつたのかなとも思ふ。で、今日は半日掛けて幾つか確認作業をしてみた。

 国際映像が三人のメダリストのウィニングランまでだつたといふ可能性を否定するやうな確証は今のところない。が、それにしても疑問は氷解しない。もし、国際映像がそこまでだつたとしたら――

① なぜ、刈屋アナウンサーはその断りを言はないのか。(「申し訳ありませんが、国際映像の契約上、ここからはVTRをご覧頂きます……」)
② なぜ、VTRを流してゐる間のリンク上の出来事をラジオの如く実況で報道しないのか。(「今、荒川選手が関係者から日の丸を受け取りました…ウィニングランです……日の丸を羽織ってウィニングランです、日の丸を振つて総立ちの観客に笑顔で応へてゐます……客席でも沢山の日の丸が翻つてゐます……!」)
③ 上のやうなことを一切言はないのに、5分以上経つてからカメラマンの要望に応へ荒川選手がリンク上を「あちこち」移動してゐること、「出口のところでカメラマンに捕まつて動けない」とか、「ファンに呼ばれてリンクの反対側に行つてしまひまいした」などのみ伝へてゐるのはなぜか。
④ 少なくとも、総集編では日の丸ウィニングランを思ひ切り流してもよいではないか。

 といふわけで、上記の冷静な記事に触発されたこともあり、3日の夕刻(18:30近く)NHKのコールセンターに質問した。最初の女性は判で押したやうな応答。直ぐに代はつた「上の者」とやらとの応答、概略以下の通り。

 国際映像がそこまでだつたと言ふ答へは予想通りだつた。このことには、先に述べた通り現段階で確証はない。あるいは事実なのかもしれない。その点では「偏向報道」と決め付けてはならないいふ花岡氏の冷静さに脱帽する。

 しかし、NHKの「上の者」、その後が頂けない。国際映像が無いなら、なぜ音声で実況放送をしなかつたのか問ふた私に、「映像がないのに解説したら変でせう」と答へた。さらに、国際映像が途切れる事を断ればよいではないかといふ質問にも同じ返答である。この答へ、答へになつてゐるだらうか。さらに実況してゐた「刈屋アナウンサーがリンクの見えるところにゐたかどうか、分からない」とまで言つてのけた。呆れて、こちらは一瞬言葉に詰まつたほど。繰り返し同じ事を聞いたが、はっきり何度も「分からない」と応答した。そんなことが分からないわけが無い。

 少なくとも、抗議電話が殺到してゐるらしい現在、こんないい加減な返答をすること自体、無防備といふか視聴者を馬鹿にしきつてゐるとでも思はざるを得ない。花岡氏の友人の言を信ずるなら、NHKとしてはこの問題に火がついた26日から今までに、なんら統一見解を出してゐない、行き当たりばつたりの応対をしてゐるといふことだらう。それはこのサイトの「電突報告」の項をクリックして見れば、NHKの応対が相手次第、応対したもの次第でかなりブレてゐることも分かる。

 さらに、私が「その後、ニュースなどで」放映したか尋ねると、「何回も」流したといふ。「それは、いつか」―「ちょっと待つてくれ」……「当日の正午のニュースだ」「その一回か」「28日3月1日のニュース10でも」「その二回だけですか」「二回だけつて、強調しなくてもいいぢやないですか」「あなたが、何回もって強調したから。では27日夜の総合1chの総集編では流したのか、28日1日夜の衛星第1の総集編はフィギュアに30分も費やしたが、そこでは流したか」といふ質問に、答へて曰く「そんなのは編集権の問題ですよ」。

 またもや、開いた口が塞がらなかつた。この「編集権」はしつこく口にしてゐた。さうなるとこちらも、受信料を払つてゐる立場の要望権・視聴権・不払権……なんでも持ち出したくなつたが、下らぬ電話に時間を費やすのがばかばかしく、10分ほどで電話を切つた。件の人物、電話の冒頭から相当に怒つてゐる様子で、しかもかなり居丈高、威圧的。こちらに腹を立ててゐるといふ感じがありありと思つたのはこちらの「偏見」か。

 以上、異常なNHK、懲りないNHKの報告だが、ついでに正確を期すために付け加へるが28日1日の衛星第1の総集編では、実は日の丸ウィニングランを僅かだが放映してゐる。これは私自身が留守中にVTRで残して確認したから間違ひない。したがつて少なくとも3回は放映したわけだが……。

 いづれにしても、上のやうな応対が多くのブロガーやネット上に、却つてNHK不信や「偏向報道」といふ「先入観」を巻き起こし、無用の(?)騒ぎを引き起こしてゐることも否めなからう。もし、NHKが偏向報道と言はれたくないなら、日本が獲得した唯一つの、しかも多くの国民が期待してゐる荒川のメダル、しかも金メダルなのだから、少なくとも地上波の総集編で、その演技・表彰式・式後のリンクの熱狂を日の丸ウィニングランを含め存分に報道する責務は、公共放送として、あるであらうが。

 それをしないNHK自体、「編集権」などといふ言葉を一視聴者に向つて口にする体質自体に、私は「偏向」の臭ひを嗅ぎ付けてしまふのだが。
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by dokudankoji | 2006-03-04 02:52 | 雑感 | Trackback(10) | Comments(7)
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Commented by super_x at 2006-03-04 03:50 x
おじゃまします。
電凸おつかれさまでした。
NHKの偏向報道疑惑(というより、やっているでしょう)が、余計に深まったということでいいのではないでしょうか?
NHKの大失態を隠し、映像権やら、編集権など言い訳に終始しても、事実、ウィニングランは流さなかったのですから、責められるのは当然だと思います。流したという映像は、ちょろっとだけなのでしょうから、我々の望むすべてではないと思われます。
気長に、ネットの中で、UPされるのをまっています。
GJな伝凸でした。
Commented by 西村幸祐 at 2006-03-04 04:56 x
ご無沙汰です。
この件、まだ僕のブログでは整理していませんが、NHKは確信犯だと思います。この3年間のスポーツ中継は異常です。いや、もちろん、スポーツ中継だけでなく、報道やドキュメンタリーなど全てが異常です。
確信犯だと思います。
Commented by 椿 at 2006-03-04 18:17 x
西村様のご判断に賛同致します。花岡氏の’NKHはできなかった’というご説は、多くの方々の質問やご意見に答えられていないところみると、破綻していると思います。NHKの『偏向』ぶりの裏の事実が、いずれ暴露されるのではないでしょうか。
Commented by 屋根の上のミケ at 2006-03-04 20:25 x
 冷静な電凸に敬意を表します。NHK内部に巣くった左翼勢力がスポーツ局にも陣取っているはずです。せっかく左翼思想を持ち、NHKという報道機関に奉職しながら、スポーツ報道では、自らの思想性を打ち出す機会がほとんどありません。そこで、わずかに国際競技大会の表彰式などで、日の丸掲揚や国歌の演奏を放送時にカットして、思想的な喜びを見いだしているのでしょう。自分たちの同士の集まりなどで「日本世論の右傾化は、なげかわしい。今度も、日の丸はカットしてやったぞ」などと、自慢話をしているに違いありません。ミケ
Commented by 西田 at 2006-03-05 06:59 x
福田理事には、「懲りないつくる会」のことを書いていただきたいです。
Commented by SAKAKI at 2006-03-10 14:47 x
はじめまして
アレは偏向、ミス?いろいろありますが結論はひとつ・・
荒川選手が日の丸の国旗を手渡された瞬間に映像が「ぶっつん」しているのです。たとえ偶然であっても疑われてしかるべきですよ。浅田まおちゃん負けちゃいましたね。NHKは韓国の選手と持ち上げてました・・ように聞こえてしまうこのごろです。
Commented by はぴい at 2006-03-11 13:37 x
遅ればせながら、やはり許せない問題なので、私も記事にしました。
そのうち、忘れ去られることをNHKは望んでいるようですが、しばらく大騒ぎしてみようと思っています。
私にできるささやかな抵抗ですが。


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