福田 逸の備忘録―独断と偏見

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2005年 10月 28日

「戦犯」は存在せず!?――今さら何を……

 政府が25日の閣議でいはゆる「戦犯」は国内法上は存在しないといふ見解を明確にした答弁書を出し、民主党の野田佳彦議員の質問趣意書に答へたといふ。先づはめでたい、といひたいところだが、何を今さら寝ぼけたことを言つてゐるのか。そんな見解を明確にしなくてはならないほど、閣議といふものはふやけた存在に堕してしまつたのか。

 確かに、今年、4・5月頃、小泉首相は「戦争犯罪人」といふ言葉を度々口にし、それに反論する形で、元森岡正宏厚生労働政務官が、極東裁判のA級戦犯等の戦犯とされた人々は「既に罪を償つてをり、日本国内ではもはや罪人ではない」旨の発言をし、物議を醸しかけた。ところが、細田官房長官は対中・韓、及腰外交ゆゑの火消しのつもりか、首相の発言を補足強化するやうなかたちで、森岡氏の発言に対し、「政府見解とは大いに異なつてをり、論評する必要もない。極東軍事裁判などは政府として受け入れている。政府の一員として話したということでは到底ありえない」と言つてしまつた。

 軌道修正なのだらうか。だとすれば、内閣は野田氏に感謝し森岡氏に謝罪しなくてはなるまい。まさか野田氏との出来レースといふことはなからうから、ここの機会を逃してはならじ、中韓は首相の五度目の靖国参拝にポーズだけの反対しか出来なかつた(これは、反日デモの顛末から既に分かりきつてゐたことだが)から、この際はつきり言つちまへとでも考へたのだらうか。

 まさか、首相にしても官房長官にしても、昭和27年の主権回復後、我が国が官民挙げて「戦犯」の名誉回復に努めた結果、戦勝関係国の同意も得て(つまりサンフランシスコ講和条約第11条に従つて)、「戦犯」は存在しなくなつたことを知らぬことはよもやあるまい。にも拘らず、首相も官房長官も、何らかの「深謀遠慮」があつてか、戦犯は存在するといふ立場から発言してゐたわけだ。

 従つて、どうしても私には今回の答弁の意図が分からない。答弁の内容は既に多くの人が主張し、マスコミも言論界も(サヨクは別)政府に注意を促してきたことであり、なぜ、今、この時期に野田氏の質問趣意書があつたにせよ、唐突に180度反対の正論を言ひ出したのか。善きことかなと寿ぐ前に、森岡氏の発言を虚仮にしておきながらと白けるばかりである。「深謀遠慮」があつて存在させてゐたものを、今度も「深謀遠慮」があつて存在させなくなつた? ならば、その「深謀遠慮」が白日の下に曝されるまでになるまでは、私はこの答弁書を手放しで歓迎するわけにはいかないのだ。
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by dokudankoji | 2005-10-28 02:19 | 雑感


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