2005年 08月 22日

樋口季一郎の言葉

 最近『陸軍中将 樋口季一郎回想録』(1999年4月 芙蓉書房刊)を読み始めた。その中で気に入つた中将の言葉を二つ引用。

 ≪…この頃議会で「愛国心とは何か」という議員の問いに対し、「愛国心とは読んで字の如し」と答えた政治家があったが、愛国心は理論ではないのであり、純粋なる感情に基づくものであり、自我の発露であり、プライドの問題である。日本人として自我を有せずプライドを喪失せるものはおよそ愛国心とは無縁のものである≫(p.55)

 ≪文豪は若い時でもよき日本語を作る。へぼ文士は愚劣な日本語を作る≫(p.32)


 どちらも含蓄のある言葉だが、前者は札幌で世界スピード・スケート選手権が開催れた際、スタートの合図が英語で行はれたことに対し、ソ連の選手が「何故日本語でやらないのだ、ロシアで開催されたら、英語国の選手がゐようがゐまいが、ロシア語でやる」と言つたといふニュースに接しての言葉。
 この、愛国心といふ当り前のことが通用しなくなつてゐるのが今の日本である。いつまで続くのか。

 後者は鷗外が「温存」といふ言葉を造語したことに触れての感想。最初はドイツ語のブレーゲンの訳語として「患者を大切に扱う」といふ意味に使はれ、後に様々の意味で使はれ出したさうだ。引用の「日本語」を「文章」と置き換へてもいい。

 そろそろ、九月の歌舞伎座の仕事で忙しくなる。既にテクニカルな作業に大分時間を取られてゐるが、十月の御園座の方が片付くまで暫くはブログ更新も短い記事になるかもしれない。
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by dokudankoji | 2005-08-22 01:14 | 雑感


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