2012年 05月 25日

六年ぶりに英国へ

 二十六日から英国へ行く。主にロンドンで芝居見物。結局ナショナル・シアター通ひのやうなもので、ウェスト・エンドの惨状は目を覆ふべき状況。行く前から分かつてしまふといふのも、変な話だと思はれるかもしれないが、ネットで調べただけで分かる。

 一言でいへば、エンターテイメント(にもならぬレベル)ばかりで、音楽入りパフォーマンス程度のものだらけ、せいぜいがミュージカル。大抵はつまらない。それに、ミュージカルは芝居ではない。全くジャンルが違ふとだけ申し上げておく。それを嘗ての「劇場街」のいはば老舗の劇場が上演してゐる。といふより、かつての劇場がやつて行けなくなつて、経営者が変つたりした挙句のことではあるが、それにしても、凄まじい。

 期待してゐるのがほぼ二三作品といふのも淋しい。その筆頭はギリシャ悲劇、「アンティゴーヌ」。どういふ演出をするか興味津々である。といふのも、今まで何度か上演の可能性を探つては挫折してきただけに、楽しみな舞台なのだ。その次がオリヴィエ賞受賞の女優が主役を演ずる「モルフィ侯爵夫人」。作品としては余り優れてゐるとは言へないが、主役のEve Bestが評判、それを見るのが眼目。

 後は、デヴィッド・スーシェ(テレビ・ドラマのポワロ役でご存じでは?)が主役を演ずるユージン・オニールの「夜への長い旅路」くらゐのものである。十数本観る中で、それだけと言ふのは……。新作については、何ともいへぬが、売り切れでチケットが取れなかつた三作品が、逃がした魚のやうに大きく見える。一作は当日券を狙つて並ぶつもり。今までの経験でいへば、新作で評判が良くても日本人の眼には退屈だつたり、余りにイギリス的だつたりする。期待しない時の方が、却つていい舞台にお目に掛れるやうな気がするのは僻目だらうか。

 シェイクスピアについては、ロイヤル・シェイクスピア・カンパニーのものはもはや見る気も起らない。観光客目当て。ナショナル・シアターと双璧をなしてゐた時代が懐かしい。といふか、四十年前はダントツの舞台を毎晩見せてくれたものである。今昔の感。あるいは私が歳を取つたと言ふことか。いやいや、ナショナル・シアターの新しさ、現代的な感覚には敵はない。オールド・ファッションともいふべき舞台。さういふ批判が大きくなつてのことかどうか知らぬが、今年あたりは、やたらに新しがつて現代服の「十二夜」だとか、アフリカの現代の不穏を描いた「ジュリアス・シーザー」とか、付き合ふ気にもならない。シーザーが白人で、ブルータスやキャシアスが黒人といふ設定そのものに付いていく気が起こらない。拒否。この種のことが日本にゐながら全て分かつてしまふ、ネット社会の味気なさを、この準備の一月ほどで嫌といふほど味ははされてゐる。

 以上、行く前にロンドンの演劇界のご報告!? 

 渡英後、ロンドン便りの一つも書きたいが、多分、ホテルにゐる時間もあまりないやうな気がする。時間がある時は、数日後に観劇を予定した新作を予め読む作業に追はれてゐさうである。全てではないが、新作はなるべく読んでから観るやうにしてゐる。

 フェイス・ブックには短い報告を書くかもしれないが、これも約束できない。舞台の感想など面白くもないだらうから、滞在中丁度ぶつかつてしまふ、エリザベス女王のDiamond Jubileeのイヴェント見物の写真でもアップしておかうか。それも甚だ怪しい、といふ無責任なメモを残しておく。

 現代演劇協会の秋の公演はホームページをご覧頂きたい。漸くスタッフ、キャスト共に固まる。これに、一年以上掛つた。震災の余波もあつたのではあるが、昨年来、恆存の戯曲を今時やることの難しさを痛感してゐる。以上、全く中身もなく宣伝にもならぬ内容だが、出国前にとりあへずのご挨拶まで。
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by dokudankoji | 2012-05-25 00:27 | 雑感 | Trackback | Comments(0)
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