福田 逸の備忘録―独断と偏見

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2005年 08月 18日

「造反組」六氏にエールを送る

 今回の解散劇に関する私の疑問は、巷間よく言はれてゐることだが、郵政のみが争点となり、それに反対した議員を公認しないといふ小泉首相の強引な遣り口が一点、もう一つは参院で否決されたものを国民投票的色合ひを持たせ衆院解散に踏み切つたことが第二点である。私は法律にはまるで疎いが、後者の問題は二院制の否定を意味するであらうし、本来なら内閣総辞職、廃案として他の法案審議を粛々と進めるべきであらう。それを、衆院解散に結びつけたのは果して憲法違反にはならないのだらうか。識者の見解を是非伺ひたいところだ。

 それはさておき、ここでは第一点目について一言。この強引な手法で、小泉が自民党の「浄化」を図つた、つまり「自民党をぶっ壊す」最終段階に入つたと考へることは出来る。「ぶつ壊す」こと自体は私も賛成する部分はある。しかし、である。余りにも支離滅裂ではないか。基準が郵政に賛成か否か、これだけでといふのは芸がない、単純に過ぎる。

 政治家(政党)たるものあらゆる局面のあらゆる言動に、その人(党)の国家感が語られるのが本当の姿ではないか。外交・経済・歴史認識等を含めた総体としての国のあり方を、どう考へ、国家をどこへ導かうとしてゐるか、見えて然るべきだ。

 その国家感を同じくする人々が集まるのが政党のはずであらうが。その点、我が国の政党は戦後の漂流の中で、ひたすら混沌の道を歩み続けてゐる。現今の自民にしても民主にしても(ことに民主は)、寄り合ひ所帯の謗りを免れない。

 自民の衆院造反組の中に、郵政民営化を別にした場合、小泉が共感を持てる議員はゐなかつたのか。ゐないとすれば、小泉は国を預かるだけの能力に欠けるといはざるを得ない。拉致問題、人権擁護法への意識、歴史認識において小泉は意識が低いと受け取られても仕方あるまい。

 そのことは一例を挙げれば、棄権・欠席組の古賀誠はお咎めなしで公認になつたことでも明白。古賀は野中広務とつるんで何とか人権擁護法案を通さうと図つた。この法案については七月二十五日の記事でポイントは述べてあるので、ここでは略すが、治安維持法にも等しいこの法案を小泉は善しとするのか、許せないと考へるのか、それとも何も考へてゐないのか。もし、どうでもいいと思つてゐるとしたら首相に止まるべきではない。

 この法案の危険性に気づいたのが、「造反組」と言はれる城内実氏(静岡7区)。氏から声を掛けられ、法案が法務部会に掛けられる二日前に城内氏と徹夜で論点整理し、ストップを掛けたのが古川禎久氏(宮崎3区)である。この二人の行動がなければ、法案は政審・総務部会・閣議決定を経て国会提出と何事もなく進んで成立してしまつた可能性が大である。さうなれば、この日本にナチス下のドイツのような暗黒社会が出現したかもしれない。

 この法案が城内、古川両氏の努力で表面化して後のことは多くの国民が知つてゐようが、安部晋三氏や「造反組」の平沼赳夫氏(岡山3区)らの必死の努力で、取敢へず先の国会では棚上げされた。しかし、古賀が自民党で再選されれば、またぞろ同法案を持ち出すことは間違ひない。その時この法案に反対した議員たちが、もしも落選してゐたなら、どういふ事態になるか、さういふ現実を小泉は何と見てゐるのだらう。

 ついでながら、古賀は遺族会代表にも拘らず、遺族会を無視して小泉の靖国参拝を牽制する発言をし、遺族会から批判されて取り消した経緯もあつた。さらに造反組に郵政反対を嗾けておきながら、自分は欠席したのだといふ。これらのことが今回の選挙で公認するか否かの基準には全くならないわけである。だから、私は今後の自民も野合と呼ぶ。今回の選挙で、真の政界再編、二大政党への動きは起こるまい。離合集散の揚げ句、またぞろ野合に終るだらう。それでは自民党をぶつ壊しても何の意味もありはしない。無駄な政治空白を作つただけの解散であつたと断ずる。

 さて、上記三人の造反組――城内、古川、平沼の三氏に加へ、古屋圭司(岐阜5区)、衛藤晟一(大分1区)、森岡正宏(奈良1区)の三氏は、それぞれに国家感・歴史観を語れる政治家だと私は確信してゐる。

 平沼氏は、言ふまでもないが、拉致議連の会長である。森岡氏は小泉の「A級戦犯」犯罪人発言に噛み付いた硬骨漢。年長の平沼氏を除く六氏は「日本の前途と歴史教育を考える若手議員の会」のメンバーであり、その会長が古屋圭司氏、幹事長が江藤晟一氏、事務局長が城内実氏だ。そして全員が人権擁護法案に必死で反対し成果を上げた。即ち、この人たちは拉致にせよ、靖国問題にせよ、歴史認識にせよ、主義主張を鮮明にしてをり、本来政治家には不可欠の思想を持つてゐる。この人達を今回の選挙で決して落としてはならない。選挙区の方達はぜひとも応援して頂きたい。

 小泉首相は威勢がいい、意欲満々である。郵政民営化問題を通して構造改革(小さな政府)を実現しようとしてゐるやに見受けられる。が、六氏のやうな国の根幹に拘る上述の如き問題には一切関はらうとしない。興味がないとしか思へぬ。

 そこへ十五日の村山談話を踏襲した屈辱談話と、今年もやつぱりの十五日靖国不参拝である。しかも、千鳥ケ淵戦没者墓苑に献花などといふあざといパフォーマンスをやる。談話といひ不参拝といひ、見事に腰が引けてゐる。当日、私は早朝の開門前から半日、靖国ウォッチングをした、そのことは九月二日発売の『諸君!』に短いエッセイを書いたので、ここでは触れぬが、一つだけ書いておく。当日参道で催された日本会議他の主催になる「集い」で小野田寛郎氏が、「小泉首相は殺されてもいいと言つて郵政解散をした、ならば、公約である靖国参拝に、何故命を懸けないのか」と、怒りを露はにして難じてゐたのが甚だ印象的だつた。

 いづれにせよ、解散総選挙となつた今、私に出来るのは上記六氏に、頑張れとエールを送ることしかない。新しい衆議院に、古賀の野望を阻止できる常識を持つた若いこの議員達を送り込まなくてはならないのだ。古賀誠の止めを刺してこそ、自民党をぶつ壊すことになるのではないか。それが、小泉のしたいことだと私は思つてゐたのだが……。

追記:log氏のブログ推薦。遠藤浩一氏の覚書も。てっく氏のLet's Blowといふブログも、海外の郵政民営化状況が分かつて面白い。
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by dokudankoji | 2005-08-18 17:27 | 雑感


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