2005年 04月 09日

永平寺と『道元の月』――報告

 天は我に味方した? 永平寺は幸ひの強雨のお陰で、スギ花粉に悩まされること皆無。

 坐禅は面白い。いや、いつもながら不思議な体験である。夕刻の座禅は凡そ40分程なのだが、同行の役者達も私も、20分位にしか感じないのである。壁に向つての面壁坐禅は、暫くすると半分意識が飛んでゐながら、無数の想念が去来する。起きてゐるやうな眠つてゐるやうな心地よい感覚。目の前の壁がぼんやりとして、自分がそこにゐてそこにはゐないやうな感覚に捉はれる。
 終ると、誰しも心穏やかになつてゐることも面白い。同行のもの全員が、いつの間にやら和やかな会話を物静かに交はしてゐる。心が柔らかくなつてゐる。

 その後の稽古も、その心持が持続してゐるのか、穏やかに静かに、そしてスムーズに進行する。稽古場の雰囲気も、やはり和やかだ。歌舞伎座、京都南座、名古屋御園座と回を追ふに従ひ舞台に深みが増していくのも不思議と言へば不思議な体験である。再演は普通、馴れから来るダラケを招くことが多いのだが、この作品だけは別のやうだ。
 
 一つ言へることは、出演してゐる役者たち全ての年齢、積まれて来た経験と技倆、それらが偶然にも一番この戯曲の上演に相応しい時期だつたといふことだ。あらゆる要素が、この上演に向かつて収斂してきたとさへ言ひたくなる位なのだ。
 そもそも道元禅師の七百五十遠忌記念公演だつたのだが、この作品に向かふ時の役者やスタッフの真剣な姿は、道元様に導かれてゐるとでも言ひたくなる感すらある。

 少々手前味噌ではあるが、御園座公演、先づは成功と言つてよからう。25日の楽日まで、少しでも多くの方に観て頂ければ幸ひである。

 手前味噌で思ひ出した。名古屋滞在中、私は稽古はそつちのけで、食べ歩きに専念。味噌煮込み(山本屋本店)に始まり、味噌カツ(矢場とん本店)、ひつまぶし(蓬莱陣屋)、名古屋コーチン(鳥椀)と、きしめん以外は一通り制覇して来た。ひつまぶしなど、二度も食したほど嵌つてしまつた。蓬莱陣屋、山本屋、お勧めする。
 
 以上、永平寺と歌舞伎と食道楽のご報告。
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by dokudankoji | 2005-04-09 02:09 | 雑感


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