2011年 06月 15日

続編・リーダーに求めるもの

 一昨日だつたか、あちこちで反原発デモがあつたらしいが、大凡は例によつて例の如く、日本やアメリカの核には反対しても、ロシア中国の核には沈黙を守る輩のデモだつたらしい。昨夜ツイッターのリツイートで回りまはつて来たツイートにかういふものがあつた。

 「埼京線に新宿で反原発デモの人達が乗ってきた。暑い~暑い~何でクーラー効いて無いんだ!って怒ってた。原発使えないからなんだけど。と思った。」

 ツイートにしてもネット上の発言の怖いところは、それが真実か否かの手掛かりがないところだ。上の発言にしても、反原発の連中を貶めるための悪意の書き込みかもしれない。さうであるとも、さうでないとも断定はできない。

 ただ、この書き込みは本当なのではあるまいか、とついつい思ひたくなるところが、私も危ないと言へば危ない。

 と、予防線を張りつつ、実はこれは嘘ではないなと、私の直観がさう信じろといふ。少なくとも、クーラーが利かない車内の暑さに文句をいふ性情と、原発やら核やら、あるいは「権力者側」が行ふことに何かと文句を附ける性向と、この二つの根つこは一つ、そこには現状への不満があり、何かことが起こると己を棚に上げて他者を非難し権力を批判する性癖がほの見える。

 そして、例へば自分が生まれ育つた国や社会への青臭い不平不満は膿み爛れるほど体内に蔵してゐる一方、その自分を生み育んでくれた国や社会に属してゐる意識は持てない。それらを持てなくしたのが、実は自分が受けた教育ゆゑの歪みであることにも、勿論気がついてゐない。

 そして、なによりも、自分を生み育んだのは、自分が属する国や社会の歴史なのだといふ厳粛なる事実にすら、目をつぶらせる教育を受けさせられた被害者であることに気づいてゐない。そもそも、自分が大人になり、一端の社会人になつたのは自分の努力の賜物だくらゐに思つてゐるのだらう。

 天に唾するといふ喩がある、他山の石といふ言葉もある。人の振り見て我がふり直せとも言ふ。まづは全ては自分の責任と考へること。20年も生きてきたら、自分の人生や生まれを人のせいにするものではない。今日の電車のクーラーにせよ、遠慮がちに言つても平成の20年余り、原発のお世話になりつぱなしで、享楽的な(石原流に言へば我欲ですな)日常を送つておきながら、事故を起こした途端に、反原発だと勝ち誇つたやうに言へるそのいけしやあしやあとした態度が私は気に食はない。

 どうやつても、取りあへず我々は原発のお世話になるしかない。十年後二十年後を目指して代替エネルギーに移行して行く努力は必要だらうし、その点では多くの人々は脱原発であり、さういふ移行に反対はするまい。ただし、私には、それが可能なのかそのデータ一つないのだ。そのデータを、現実的なデータを示して、これこれかういふ筋道で脱原発を進めますと、さういふ方向を示すのが政治家の仕事ではないか。

 データもなしで浜岡原発を止め、或はデータがあつても我々国民に開示もせずに止めてしまひ、後はドミノ倒し、原発は次々に停めざるを得ず、といつて菅にはその後の青写真が何一つない。少なくとも我々に見せてくれない。この三カ月、その繰り返しに国民が苛立つてゐることなど、どうでもよいのだらう。総理の座にしがみつく保身と延命しか、菅の頭にはないと言はれても仕方あるまい。

 現実的データに基づく可能性を一つも示さずに、自然エネルギーを持ち出す菅総理も、総理に急にすり寄る孫正義も甚だ異様だと言つておく。原子力村の代りに自然エネルギー村が出来、その利権に群がる人間が出る、それだけのことであらう。機を見るに敏な孫と、延命を図る菅がつるむと言ふことか。やめてくれ。

 私は日本人の民族的資質からいへば、今回の危機など必ず乗り越えられると確信してゐる。太陽光等の再生可能エネルギーを廉価なものにする智慧も必ず絞り出すことだらう。そして、原発すらも、開発しろといふ国策があれば、地震・津波対策から再処理まで含めてほぼあらゆることを想定した「完璧」なものを生み出す能力すらあると思つてゐる。問題は、政治家がその青写真を書けないこと、或は書かうとしないことだらう。

 震災から三か月を経て、未だに避難所生活が8万人を越し(親類縁者に頼つた人々まで数へたらさらに多いわけだが)、にも拘らず、「増税だ、いや国債だ」と筋道を付けられずにいる。あまりにも無惨な行政の姿ではないか。前の記事にも書いた、リーダーは喩へ過てる目標であれ、少なくとも向かふべき目標を示さねばならない。それがなければ、如何なる集団も動かない、動けない。坐して死を待つことになる。それだけは、如何なる集団であれ、避けるべきではあるまいか――かつて集団を率ゐ損ない(?)、三百人劇場を潰して多くの恨みを買つた男の妄言である。
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by dokudankoji | 2011-06-15 01:34 | 雑感 | Trackback | Comments(0)
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