福田 逸の備忘録―独断と偏見

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2011年 06月 05日

グロテスクな話(6日午前1:00追加訂正あり)

 昨日、仙台から出張で横浜に来た友人と話した。かの地に暮らして3月11日以来の日常を送つてゐる人の目には、横浜のにぎやかな雑踏が異様に映つたらしい。被災地で何もかも無くして苦闘を強ひられてゐる人々、その人々を支へてゐる人々、さういふ世界が一方にあり、他方、三月も経たぬうちに、あの災害などなかつたかのごとき日常が存在してゐる。

 知人曰く、確かに被災地ではない関東や西の人々が元気で、夜の繁華街の賑はひを含めて活発な経済活動が必要なことは十分わかる、しかし、両方の世界を観てゐると何が現実か分からなくなるし、横浜の繁華な世界がグロテスクなものにも思へてくる、といふより、二つの現実が同時に存在する姿自体がグロテスクに思へる、といふのだ。

 その通りだと思ふ。私自身は、震災から一月余りのころ、渋谷の雑踏を歩いてゐて殆ど反吐が出さうな不快を感じた。以来、さういふ雑踏を避けたくなつてゐる。勿論、私も仕事で酒を飲みに繰り出すこともある。先日も、秋にある舞台の打ち合はせのあと、二時間ばかり飲んだが、仕事の話が片付けば、やはり、会話はおのづと地震や原発、政府の対応や政治家の無能に話題が移る。が、世間一般を見渡すと、私の感触では、今次の災厄を既に過去のものと感じてゐる人が多いやうな気がする。学生と話しても、さう感じる。

 ついでに、仙台の知人からをかしな話を聞いたので書いておく。被災者への国からの支援額が、家屋の全壊には取敢へず100万円、半壊の場合が、確か50万円、支給されてゐるさうである。全壊家屋の持ち主が家を新築しようとすると、さらに200万円の支援があるとのこと。

 それはよいのだが、アパート暮らしの学生が、そのアパートが津波で流された場合にも100万円が支給され、流されたアパートの大家は、居住家屋喪失ではないから一銭も支給されないといふのだ。仮に大家が高台の粗末な家に住んで家賃収入だけで暮らしてゐても、アパート再建の支援もなされないといふ。

 学生には一時的に頼る実家もあらう。流された家財の額もたかが知れてゐよう。再建の必要もなく、どこかに家賃数万のアパートを見つければ済む話だらう。彼らに100万円が支払われ、半壊家屋の持ち主には50万円、どうみてもをかしな話だ。

 私の知人の知人で、某市役所の支給窓口担当者の言では、そんな学生の中には、「いいんですか、こんなに貰って」と言ふものもゐるといふ。そこまで聞いて、釈然としないで腹を立ててゐた私も少しホッとした次第。だが、これもやはり何ともグロテスクな話ではあるまいか。

 いかなる制度にも完璧はなく、常に不合理が付きまとふ。だが、政府はもう少しきめ細かい支援体系を構築すべきではないか。民主党の茶番を観てゐると、ついついこれも「やつぱり民主党政権だから」とケチを附けたくなる。義捐金なら被災者に一律50万円とか、どれほど大雑把でもよいと思ふ。それはわれわれ個々人の自由意思で募金したものなのだから。が、政府からの公的支援は、なんだかんだ言つても、国家の財産からの出費であり、我々の税金を使ふのだから。

追加訂正:
知人より「学生に払われる金額は全壊で75万、大規模半壊で37.5万でした。一人の世帯だと若干安くなっています。でも、話の筋に影響はないでしょう。引越して別の賃貸に行くとさらに37.5万円もらえるのだから」と訂正と言うか、さらに「酷い」話だとメールを貰つた。75万と37.5万、足せば、112,5万円だ……。詳細は以下のページをご覧下さい。
http://www.city.sendai.jp/hisaishien/1-3-1saiken.html
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by dokudankoji | 2011-06-05 16:56 | 雑感


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