2011年 04月 12日

原発と計画停電と節電と

 この大震災に備へてゐたなどと言ふつもりはないが、育つた時代のせいか日頃から節約節電はそれなりに意識してゐた。数年前の改築の折、白熱球は殆ど止め、節約型の蛍光灯かLEDを多用してゐる。仕事場に二つスタンドがあるが、合せて12ワット。LEDである。以前の仕事部屋は天井と手もとのスタンドで合はせて160ワットだつた。食堂も今はLEDで40ワットの照明(改築以前は120ワット)、普段不用な廊下の照明は人感センサー、夏場の冷房の設定は昨夏の酷暑の中では30℃、といつた具合。

 決して威張るわけではない。ただ、それが当たり前と考へてゐる。皮肉なことに節電意識を更に刺激してくれたのが、TEPCO。さう、東電さん。そのメルマガ(ぱつたり来なくなつた、当たり前か)でポイントを貯めては、自然保護のために寄付をしたり、尾瀬の木道のリサイクルで作つたノートをもらつたり。

 このノートの裏に書いてある文章、以下の如し。「東京電力は40年にわたって尾瀬の自然保護に取り組んでいます。尾瀬の自然に与える影響を最小限に抑えながら、自然と触れ合うことができるように敷設した木道もその一つです。このノートは、その木道をリサイクルした再生紙〈尾瀬の木道エコペーパー〉を使用しています。」

 今までに3冊貰つた。クリアファイル1枚とセット。まだポイントが大分溜つてゐたから、2セットくらゐ貰へたはずなのですが、東電さん、もう貰へないのでせうね……。でも、東電さん、よいこともしてゐたのですね。

 ここまではどうでもよい戯言。

 最近、原発がらみで節電やら何やらいろいろと気になる。計画停電を止めたのは「結構」なことと思ふが、人間といふものは安きに付き低きに流れるものと思ふ。計画停電が無くなると、なんとなく、節電はしなくていいのだといふ気分にならないものだらうか。暖かくなつて来て確かに電力需要は下がり、計画停電をしなくても供給を下回る需要だといふ理屈は分かる。だが、国民(企業も個人も含める)の節電意識を低めることはないのだらうか。

 他人の事は置いておかう。私自身、この一週間ほど既に一時期の必死の節電をしなくなりつつあり、毎日反省してゐる。計画停電が良いのか、総量規制が良いのか、私には判断がつかない。おそらく後者の選択肢しかないのではないかと昨日も知人と話してはいたのだが、確信はない。ただ、計画停電を東電といふ一私企業・民間企業に任せて知らん顔の政府には疑問を感じる。一方、政府から総量規制をかけられたら、企業は相当に生産力を落とす気もする。

 素人考へと言はれるだらうが、節電意識を高めること、殊に一般家庭では徹底した節電をして、産業界を委縮させたり生産力を落としたりさせない方策が必要で、そのためには政府が「国家非常事態宣言」を出して、東電をすぐにも国有化する、あるいは暫定的に国の統制下に置くべきだと思つてゐる。いや、さらに原発は、いはば国営にすべきであらうと思ふ。

 情緒に流されがちな心情左翼やリベラルの原発反対派はどうでもよい。原発やむなしといふ現実派の方々にこそ考へてもらへればよい。大雑把に30%を原発で電力を賄つてゐる我が国の電力事情を見ると、一つに原発の安全性を更に高めること、(あり得ない想定だが)想定外の天災にも他国の攻撃にも耐え得るくらゐの安全なものを作ることを考へるほかないのではないか。

 地熱、太陽熱、風力、海力、どれも発電能力は原発とは比較にならないはずだ。これらは補助手段に過ぎまい。火力と言つても、石油等々のエネルギーをどこから持つてくるのか。シーレーン防衛に「興味」のない民主党ではどうにもならない。となると、水の豊富な日本には水力が一番相応しいのだらうし、まだダムをつくる余地も技術も日本には十分あるのではないか。日本の美しい山、自然をある程度破壊してもダムを造るべきなのかもしれない。
  
 八ツ場ダムは、前原さん、造るべきなのですよ。原発を一斉に止めてみて、どの程度の大規模停電が起こるのか、シミュレーションの必要もなからうが、一度そのくらゐの事もしてみないと話が先に進まないのが、この国の政治家と官僚と国民なのだらうか。生活を質素にとか、貧しくてもいいぢやないかとか、言ふことはたやすい。だが、社会の仕組みは急激にレベルダウン出来るものではない。

 突然、津波に街ごと奪はれた人々の再生への道を考へるとよいのかもしれない。気の遠くなるやうな、想像もつかない厳しい道のりだ。もし電力を30%無くすとしても、一挙にやれるものではないどころか、徐々にであつても、生産を(給料を)現在の70%に減らせと言はれて、不満は置いておいて、実際にさういふことが出来るか。消費税増税すら直ぐに反対する国民が。

 ところで、今でも、東京の繁華街で二階以上にある居酒屋は看板の照明を落とせない。当然だらう。一階の店舗なら、通りがかりに窓から見えもしよう、客もそこそこ入るだらう。二階以上は、さうはいかない。こんなつまらない例でも、30%の電力ダウンに殊に首都圏が絶えられものか、疑問符がつくだらう。あらゆる産業で30%ダウンをしたら、復興増税以上の打撃、デフレ・スパイラルなどといふ言葉では表せぬ打撃を蒙るだらう。

 少しづつ少しづつ原発から他の発電に切り替へる道を探る外に手はあるまい。しかし、はつきりと予言しておく。断定しておく。米国もロシアも中国も「絶対に」原発を減らすことなどあり得ない。さういふ世界の現実の中でどういふ国家を造るつもりか。国家観のお嫌ひな民主党や菅総理の思考力の埒外か。

 北朝鮮の例を挙げるまでもない。更に予言するなら、いづれ遠からぬ将来、福島で起こつたことは、あるいは更に悪い事態が世界のどこかで起こる。偏西風に乗つてこの日本に、現在の何万倍もの放射能が飛来することも想定外などではあり得ない。

 ここで節電の話を幾つか。計画停電が始まつたころ、ネット上に、「節電に協力して早寝しま~す」といふ寝ぼけた文言を見つけた。この程度の知識かと呆れるほかはない。私は同じころ、家で冗談半分、半分本気で言つたものだ、「節電ね、ぢや、今までより夜更かしして、昼過ぎに起きりやいいんだな」。夜中は電力使用量は供給の70%ほどらしいし、昼まで寝てゐりや、午前のピーク時には私は死んでゐるわけで節電に大いに協力してゐることにならうが。

 京王井の頭線。褒めてやらう。昼間、電車内の蛍光灯をすべて消してゐた。数へたら40ワットの蛍光灯が左右二列、確か8本づつあつた。計640ワット。五両編成で3000ワットの節電。JRも御褒美、山手線で昼間は同じ状態。多分10両編成くらゐだらうから、井の頭線の倍は節電。しかし、昼間はこれで十分の明るさなのに今までなぜ点けてゐた? それが逆に腹立たしくなつてくる。

 ところが同じJR――御褒美取り消し。15両編成の東海道線で真昼間から煌煌と全ての車両内の全ての照明を点けてゐる。これを全部消したら、10000ワットの節電にならうが。運行本数×東海道線に横須賀線に埼京線に……幾らの無駄をしてゐるのだらう。

 さらに駅のホームの照明。ホームからの転落や犯罪の危険を考へての措置だと反論してくるだらうが、ホームはやはり左右両側に二列が基本らしい、ならば、互ひ違ひに一本置きに点灯すれば十分のはず。そして、現実に東海道線の藤沢駅では、ほぼこれに近い点灯のしかたで節電してゐる。であるのに……保土ヶ谷も大船も辻堂も茅ヶ崎も平塚も大磯も、ほぼ全部の照明器具に点灯してゐる。それぞれの駅長の判断に任せてゐるのか? もう少し頭を使へ。

 東横線渋谷駅のホームも天蓋で暗いのは分かるが蛍光灯は昼間半分にしても問題ないはず。と、三つの例を挙げたが、首都圏のあちこちで節電をもつと出来るのではないか。首都圏でさういふ節電だけでも何十万キロワットの節電が可能な気がする。その努力を国が相当程度の規制をかけてでも民間企業と家庭にさせることで、夏に向かつての対策が取りやすく、我々一般家庭もさらに工夫を重ねるやうになつたのではあるまいか、いや、これからでもやつてみる意味があるのではなからうか。日本人は真面目である。うんざりするほど気まじめだ。この災厄を前にして、そのやうな努力は惜しまないはずだ。出来るところで節電を徹底し、その後で総量規制をかけたなら、少しは産業界も協力するだらうし、デフレ・スパイラルへの危険を僅かなりと回避出来るのではあるまいか。何よりも、国民の覚悟が今以上に出来るのではあるまいか。期待しすぎか?

 国の規制といふと、直ぐに個人の自由意思がどうのかうの言ひ出し、統制はよろしくないといふ御仁が出てくるのは分かるが、さういふ連中に限つて、これは間違ひなく「原発反対」と観念でものをいふ人だらう。原発に反対して、どういふ国家像あるいは生活スタイルを描くのか、是非青写真を見せて欲しい。

 私の考へ――まづ個々人がライフスタイルを変へよう。そのガイドラインを国が率先して示すことが可能であれば、なほよろしい。それから原発の安全性を高める工夫を最大限する。同時に代替エネルギーの可能性を探ること――私の歳になると正直放射能に対する恐怖も不安も全くない。かういふ時代にかういふ国に生まれたことを不幸と思つたこともない。ただ、子や孫に、生きるに値する国を残したい、そればかり考へてゐる昨今である。
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by dokudankoji | 2011-04-12 02:25 | 雑感 | Trackback | Comments(1)
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Commented at 2011-04-12 11:30 x
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